【薬剤師が解説】水虫(足白癬・爪白癬)に処方される薬と市販薬でできること

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足の指の間がジュクジュクする、皮がむける、かゆい——「水虫かも」と思いつつ、恥ずかしさもあってドラッグストアの薬でこっそり済ませている方も多いのではないでしょうか。

実は水虫は、症状が出ている場所によって「市販薬でしっかり対応できるもの」と「そもそも市販薬に選択肢がなく、自己判断が危険なもの」に分かれます。

この記事でわかること

  • 水虫(足白癬)に処方される薬と、市販薬の成分の対応関係
  • 爪水虫(爪白癬)の飲み薬3種類は何が違うのか
  • 市販薬に頼らず受診すべきケース

結論を先に

足の水虫は、市販薬にも処方薬と同じ有効成分が使われており、症状が軽ければ市販薬でしっかり対応できます。一方、爪の水虫は飲み薬による治療が中心で、市販薬に相当する選択肢がありません。顔・頭・陰部にできた場合や、症状が広範囲・化膿している場合、自己判断がはっきりしない場合も、市販薬の対象外として受診が必要です。

執筆:薬剤師 しまさ(調剤薬局勤務)

水虫とは?

水虫は、白癬菌というカビの一種が皮膚の表面(角質層)に寄生することで起こる感染症で、医学的には「白癬(はくせん)」と呼ばれます。日本皮膚科学会・日本医真菌学会のガイドラインによると、足の水虫(足白癬)は人口の約13.7%、爪の水虫(爪白癬)は約7.9%の頻度でみられると推計されています。

ここで押さえておきたいのが、足白癬と爪白癬では治療の中心となる薬がまったく違うという点です。足白癬・体部白癬(たむし)は塗り薬(外用薬)が治療の中心である一方、爪白癬は塗り薬だけでは治りにくく、飲み薬(内服薬)が治療の中心になります。
出典:皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同)

病院ではどんな薬が処方される?

症状が出ている場所によって、代表的な処方パターンをご紹介します。

症状代表的な薬どんな薬?
足白癬(通常)外用抗真菌薬(テルビナフィン、ブテナフィン等)患部に直接塗って白癬菌を殺菌する。第一選択
足白癬(塗り薬で治りにくい・角化型)内服抗真菌薬(テルビナフィンまたはイトラコナゾール)塗り薬で効果不十分なときに検討
爪白癬内服抗真菌薬(テルビナフィン、イトラコナゾール、ホスラブコナゾールのいずれか)爪の中まで薬を届けるため、飲み薬が中心

足白癬に対する外用抗真菌薬の有効性は、複数の比較試験で裏付けられており、診療ガイドラインでも「行うことを強く勧める」という最も強い推奨がつけられています。爪白癬にも塗り薬(エフィナコナゾール・ルリコナゾールの爪外用液)が使われることがありますが、これらは直接顕微鏡検査や培養検査で爪白癬と確定診断された患者にのみ保険が適用される薬です。

それぞれの薬をくわしく解説

テルビナフィン(外用/アリルアミン系)

白癬菌の細胞膜が作られる過程をブロックして殺菌する塗り薬です。1日1回の塗布で、比較的短期間でも高い効果が報告されています。臨床試験では、7日間の使用で菌が検出されなくなった割合(菌学的治癒率)が91.4%だったとする報告があります。

📋 使い方:1日1回、患部に塗布します。

ブテナフィン(外用/ベンジルアミン系)

テルビナフィンとは系統は異なりますが、同じように白癬菌を殺菌する塗り薬です。臨床試験では、1週間の外用で4週間後に菌が検出されなくなった割合が91%だったと報告されており、テルビナフィン(同様の試験で88%)とほぼ同じ水準の高い効果が示されています。

📋 使い方:1日1回、患部に塗布します。

この2つの成分は「系統が違う=効果に優劣がある」わけではなく、どちらも足白癬に対する強い推奨(診療ガイドライン推奨度A)の根拠となっている代表的な外用抗真菌薬です。
出典:皮膚真菌症診療ガイドライン2025

爪水虫の飲み薬、何が違う?

爪白癬の内服薬には、テルビナフィン・イトラコナゾール・ホスラブコナゾールの3種類があります。「どれも同じ抗真菌薬」に見えますが、実は治り方や注意点にはっきりした違いがあります。

薬飲み方ガイドラインの推奨度
テルビナフィン1日1回125mgを6ヶ月連続強く勧める(A)
イトラコナゾール1週間服用+3週間休薬を3回繰り返す(パルス療法)勧める(B)
ホスラブコナゾール1日1回100mgを12週間連続強く勧める(A)

国内の比較試験では、治療がよく効いた人の割合(著効率)はテルビナフィンで61.7%、イトラコナゾールで63.0%と、治療してすぐの効果はほぼ同じでした。差が出るのは、治った後の話です。

治療後5〜7年という長期間で再発の有無を調べた報告では、菌が再び検出された割合(菌学的再発率)はテルビナフィン群で22.8〜32%だったのに対し、イトラコナゾール群では53.1〜59.1%と、およそ2倍の差がありました。見た目の症状がぶり返す割合(臨床的再発率)でも、テルビナフィン群20.5〜40%に対しイトラコナゾール群48.2〜50%と、同じ傾向がみられます。費用対効果を検討した複数の報告でも、いずれもテルビナフィンが優れていました。これが、テルビナフィンが最も強い推奨(A)とされている理由のひとつです。

ホスラブコナゾールは2018年発売の比較的新しい薬で、12週間という短い服用期間で、48週間後の完全治癒率59.4%・真菌学的治癒率82.0%という良好な成績が報告されています。他の2剤との直接比較試験はまだ行われていません。

⚠ 検査の厳しさにも違いがある

テルビナフィンは、重篤な肝障害や血液の病気がある人には使えず、飲み始める前と、飲んでいる間、定期的に肝機能・血液検査を行うことが添付文書で明記されています。イトラコナゾールは一緒に飲めない薬が非常に多く、注意が必要です。ホスラブコナゾールは、これらほど厳格な検査の決まりはありませんが、妊娠中・妊娠している可能性がある人には使えません。

最終的にどの薬を選ぶかは、肝臓・血液の状態や飲み合わせ、ライフスタイルを踏まえて医師が判断します。
出典:皮膚真菌症診療ガイドライン2025、各薬剤インタビューフォーム

市販薬(OTC)で対応できる?

足の水虫については、市販薬にも処方薬と同じ有効成分が使われています。

市販薬の例成分処方薬での対応成分
ブテナロックVαブテナフィン塩酸塩同一成分(処方薬メンタックス等)
ダマリンエースアモロルフィン塩酸塩同じ系統(処方薬ペキロン等)

そのため、足の水虫については「市販薬は効果が弱い」ということはなく、症状が軽ければしっかり対応できるといえます。ただし、使い方にはコツがあります。

市販薬を使う場合の目安

添付文書には「症状がなくなっても、水虫薬は最低1ヶ月程度、塗り続けましょう(症状が消えても、白癬菌の活動を抑えているだけのこともある)」と明記されています。一方で「2週間位使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」ともされています。「治ったと思ってすぐやめる」「効かないからと長々と自己判断で使い続ける」のどちらも避けることが大切です。

一方、爪の水虫(爪白癬)には、市販薬に相当する選択肢がありません。爪白癬の治療は飲み薬が中心で、塗り薬による治療も直接検査で確定診断された人にのみ保険適用される処方薬です。市販の水虫薬の効能・効果は「みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし」であり、そもそも爪の水虫は対象に含まれていません。

こんなときはすぐ病院へ(受診の目安)

次のようなときは、市販薬に頼らず皮膚科を受診してください。

🚩 受診のサイン

  • 爪や頭に症状がある(市販の水虫薬の対象外)
  • 患部が顔や広い範囲に及んでいる
  • 陰のうや外陰部、粘膜に症状がある
  • 患部が化膿している、じゅくじゅくして傷が深い
  • 「水虫」か「湿疹」かはっきりしない(自己判断で市販薬を使うと悪化させることがある)
  • 妊娠中、乳幼児、薬でアレルギーを起こしたことがある
  • 市販薬を2週間使っても症状がよくならない

これらは市販の水虫薬の添付文書にも、使用してはいけない・相談すべきケースとして明記されている内容です。特に爪の変形は、水虫(爪白癬)以外にも、乾癬や爪の腫瘍など見た目が似た別の病気であることも少なくありません。自己判断で市販薬を使う前に、皮膚科で顕微鏡検査を受けて原因をはっきりさせることが大切です。
出典:市販水虫薬添付文書、皮膚真菌症診療ガイドライン2025

まとめ

  • 足の水虫は、市販薬にも処方薬と同じ有効成分(テルビナフィン、ブテナフィン等)が使われており、症状が軽ければ市販薬でしっかり対応できる
  • 爪の水虫は飲み薬が治療の中心で、市販薬に相当する選択肢がない
  • 爪水虫の飲み薬3種類は、初期の効果はほぼ同じだが、テルビナフィンは長期の再発率がイトラコナゾールのおよそ半分と低く、最も強く推奨されている
  • 爪・顔・頭・陰部の症状、広範囲、化膿、症状がはっきりしない場合は、市販薬に頼らず皮膚科を受診しよう

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療にかわるものではありません。症状が続く場合や気になることがある場合は、医師または薬剤師にご相談ください。

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