なやみさん
ロゼレムSとドリエル、何が違うの?
しまさ先生
どちらも「一時的な不眠」向けですが、眠くなる仕組みが違います。整理しましょう。
この記事でわかること
- ロゼレムSとドリエルの仕組み・注意点の違い
- 場面別の考え方と、薬に頼る前にできること
- 受診すべきサイン
執筆:薬剤師 しまさ(調剤薬局勤務・現役薬剤師)
結論:ロゼレムSとドリエルの違い
| ロゼレムS | ドリエルなど | |
|---|---|---|
| 成分 | ラメルテオン8mg | ジフェンヒドラミン塩酸塩50mg |
| 眠くなる仕組み | メラトニン受容体に作用し、体内時計を整えて睡眠側に傾ける | 覚醒を保つヒスタミンの働きをおさえる(抗ヒスタミン薬) |
| 分類 | 要指導医薬品 | 指定第2類医薬品 |
| 対象年齢 | 15歳以上 | 15歳以上 |
| 効能 | 寝つきが悪い | 寝つきが悪い、眠りが浅い |
| 翌朝への影響 | 翌日まで眠気・だるさが続くことがある | 翌日まで眠気・だるさが続くことがある |
どちらも一時的な不眠用で、同時には使えません。
① 眠りのしくみ
眠りには「眠るタイミングを知らせる働き」と「目覚めを保つ働き」があります。ロゼレムSは前者、ドリエルは後者に関わる薬です。
② ロゼレムS:体内時計に作用する
有効成分のラメルテオンは、医療用「ロゼレム錠」(2010年発売)と同じ成分・同じ量です。
- メラトニン受容体(MT1・MT2)に作用して、睡眠と覚醒のバランスを睡眠側に傾けます
- ベンゾジアゼピン系などの睡眠薬が作用するGABA受容体には、親和性を示さないとされています(医療用添付文書)
- 効能は「寝つきが悪い」。医療用の試験でも、評価の中心は寝つくまでの時間でした
- 依存や耐性は起こりにくいと考えられています(メーカーFAQ、2013年ガイドライン)。ただし2週間を超えて使わない決まりです(寝つきの悪さは生活習慣が原因のこともあるため)
③ ドリエルなど:ヒスタミンをおさえる
有効成分のジフェンヒドラミンは、アレルギー薬としても使われる抗ヒスタミン薬です。その眠気の作用を睡眠改善薬に応用しています。同じ成分・同じ量(50mg)の睡眠改善薬は、30製品以上あります。
- 翌日まで眠気やだるさが続くことがあります
- 口のかわき・排尿困難など、抗コリン作用とよばれる副作用が出ることがあります。緑内障・前立腺肥大の診断を受けた方、排尿困難のある方は服用前に相談を(前立腺肥大の記事)
- 海外の小規模な試験(1日2回・4日間)では、数日で眠気が弱まったと報告されています。市販薬の飲み方とは条件が違うため参考です。添付文書では「連用しない」とされています
- 2013年(2014年更新)のガイドラインは、慢性の不眠への使用を推奨していません(古い資料のため参考)
④ 添付文書から見た、場面別の整理
| 場面 | ロゼレムS | ドリエルなど |
|---|---|---|
| 寝る時間がずれて寝つけない | 体内時計に作用する薬。効能は寝つき | 「不規則な生活で、睡眠リズムが狂い、寝つけない」を例示 |
| 緊張・考えごとで寝つけない | 説明文書に例示なし | 「ストレスが多く眠れない」「神経が高ぶって寝つけない」を例示 |
| 眠りが浅い・夜中に目が覚める | 効能に含まれない(服用前に相談) | 効能に含まれる(「心配ごとで夜中に目が覚める」も例示) |
| 翌朝が早い | どちらも翌日に眠気が残ることがある。運転等は症状が消えるまで避ける | |
優劣を決める表ではありません。迷うときは薬剤師に相談を。
⑤ 使う前の注意点
- フルボキサミン(デプロメール・ルボックス等)で治療中の方は服用できません。薬の代謝が強くおさえられ、作用が強く出るおそれがあるためです。一部の抗菌薬などにも注意が必要なので、ほかに薬を飲んでいる方は薬剤師に確認を
- 睡眠時無呼吸症候群・うつ病などの精神疾患・肝臓病で治療中の方、妊娠中の方は服用できません
- 食事と同時・食直後は避ける:食後に飲むと、空腹時より薬の血中濃度が下がる(試験で約16%低下)ためです
- 飲酒しない:薬の作用が強まるおそれがあります。お酒は寝つきを一時的に促しても、後半の眠りの質を悪くするため、睡眠のためにも控えましょう
- かぜ薬・アレルギー薬・乗り物酔い薬などの抗ヒスタミン薬と成分が重なります。同時に飲まないでください
- 日常的に不眠の方、不眠症の診断を受けた方、妊娠中の方は服用できません。飲酒も避けます
ℹ️ 共通
ロゼレムSとドリエルは併用できません。どちらも15歳未満は服用できず、授乳中は服用しないか授乳を避けます。高齢の方は、作用が強く出たり(ロゼレムS)、眠気が強く出る・逆に神経が高ぶる(ドリエル)ことがあるため、服用前に相談してください。服用後は運転をしないでください。病院で睡眠薬を処方されている方は、自己判断で市販薬に替えず、医師に相談してください。
⑥ 薬に頼る前にできること
なやみさん
薬の前に、まず何をすればいい?
しまさ先生
体内時計を整える習慣が基本です。厚生労働省の睡眠ガイドでも勧められています。
- 日中、できるだけ日光を浴びる(体内時計が調節されて入眠しやすくなる)
- 夕方以降はカフェインを控えめに
- 寝室にスマートフォンを持ち込まず、暗くして寝る
- 休日の寝だめで起床時刻を大きく遅らせない(体内時計が乱れる)
⑦ 受診すべきサイン
一時的な不眠とは、旅行や心配ごとで数日程度眠れない状態です。日中の生活に支障が出る場合は「不眠症」の可能性があり、市販薬の対象ではありません。
- 2〜3回飲んでも良くならない/2週間を超えて必要
- 日中の強い眠気やだるさ、気分の落ち込みがある
- いびきが大きい、睡眠中の呼吸停止を指摘された(睡眠時無呼吸の可能性)
- 夜中に何度もトイレで目が覚める(夜間頻尿の記事)
まとめ
- ロゼレムSは体内時計に、ドリエルはヒスタミンに作用する。仕組みも効能も違う
- どちらも一時的な不眠用。同時には使えず、翌日に眠気が残ることがある
- 2〜3回で良くならない、2週間を超える、日中に支障が出るなら受診
次にすること:まず日光・カフェイン・スマホなどの生活習慣を見直し、それでも寝つけない日だけ、添付文書どおりに。
関連記事:【薬剤師が解説】夜間頻尿に処方される薬と市販の漢方薬でできること/【薬剤師が解説】中高年男性の排尿困難(前立腺肥大症)に処方される薬と市販薬でできること
しまさ先生
薬は「一時的な不眠のお助け」。眠れない日が続くときは、我慢せず相談してくださいね。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療にかわるものではありません。症状が続く場合や気になることがある場合は、医師または薬剤師にご相談ください。
参考文献
- ロゼレムS 説明文書(アリナミン製薬)PDF/よくあるご質問 公式サイト
- ロゼレムS 製造販売承認・発売のニュースリリース(アリナミン製薬)PR TIMES
- ロゼレム錠8mg 添付文書(武田薬品)PMDA
- ドリエル 添付文書(エスエス製薬)PDF/ドリエルEX 添付文書 PMDA
- レスタミンコーワ錠10mg 添付文書(医療用ジフェンヒドラミン)JAPIC
- 日本医薬情報センター(JAPIC)一般用医薬品データベース(KEGG MEDICUS)KEGG MEDICUS
- 睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン(2013年策定・2014年更新)PDF
- 厚生労働省.健康づくりのための睡眠ガイド2023 PDF
- Richardson GS, et al. Tolerance to daytime sedative effects of H1 antihistamines. J Clin Psychopharmacol 2002;22(5):511-5. PubMed

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