なやみさん
「PPI」「H2ブロッカー」って、何が違うの?
しまさ先生
どちらも胃酸をおさえる薬です。違いは「効き方」「効き始め」「飲み方」。順番に見ていきましょう。
この記事でわかること
- PPIとH2ブロッカーの違い
- 市販のパリエットS・ガスター10の選び方と使える期間
- 受診すべきサイン
執筆:薬剤師 しまさ(調剤薬局勤務・現役薬剤師)
結論:PPIとH2ブロッカーの違い
| PPI | H2ブロッカー | |
|---|---|---|
| 効き方 | 胃酸の「最後の出口」を止める | 合図のひとつ「ヒスタミン」の受け取り口をふさぐ |
| 効き始め | 服用2〜6時間後から(オメプラゾールのデータ)。効果が安定するまで数日かかることも | 服用1時間後から胃の酸性度が下がり始める(処方薬のデータ) |
| 市販薬の飲み方 | 1日1回、毎日同じ時間帯に | 症状が出たときに。1回で約8時間(1日2回まで) |
どちらが上ではなく、しくみと向いている使い方が違う薬です。
① 胃酸が出るしくみ
胃の細胞は「合図」を受け取ると、最後に「プロトンポンプ」という出口から胃酸を出します。
② 病院ではどんな薬が処方される?
胃酸が逆流する病気の治療は、PPIとP-CABが中心です(日本消化器病学会ガイドライン)。
| 12週間治療した研究 | 食道の傷が治った割合 | 胸やけがおさまった割合 |
|---|---|---|
| H2ブロッカー | 52% | 48% |
| PPI | 84% | 77% |
出典:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021
| 分類 | 一般名(主な商品名) | 飲む回数 |
|---|---|---|
| PPI | オメプラゾール(オメプラール) ランソプラゾール(タケプロン) ラベプラゾール(パリエット) エソメプラゾール(ネキシウム) | 1日1回 |
| H2ブロッカー | ファモチジン(ガスター) ニザチジン(アシノン) ラフチジン(プロテカジン) | 1日2回 |
| P-CAB | ボノプラザン(タケキャブ) | 1日1回 |
なやみさん
タケキャブもPPIの仲間?
しまさ先生
同じ出口を止めますが、別のグループです。飲んだその日から十分に胃酸をおさえるとされ、症状が重いときに使うことが提案されています。市販薬はまだありません(2026年9月時点)。
詳しくは逆流性食道炎の記事で解説しています。
③ 市販で買える薬
| 製品名 | 成分 | 区分 |
|---|---|---|
| パリエットS | ラベプラゾール 10mg | PPI 要指導医薬品 |
| オメプラールS | オメプラゾール 10mg | |
| タケプロンS | ランソプラゾール 15mg | |
| ガスター10 | ファモチジン 10mg | H2ブロッカー 第1類医薬品 |
要指導医薬品・第1類医薬品は、どちらも買うときに薬剤師の説明(情報提供)があります。PPIは2025年に初めて市販薬になりました。
- 市販PPI:ほかのPPIを使った期間と合わせて2週間まで
- ガスター10:2週間まで
- どちらも3日で良くならなければ中止して相談
病院で処方されたPPIは医師の指示どおりに続け、市販のPPIを自分で追加しないでください。
ℹ️ 購入前に相談が必要な人
妊娠中、高齢の方。授乳中は服用しないか授乳を避けます。ガスター10は15歳未満・80歳以上・妊婦さんは服用できません。
④ 市販薬の選び方
| たまの胸やけ・胃痛 | どちらも選択肢。ガスター10は症状が出たとき、市販PPIは毎日1回 |
|---|---|
| 続く・くり返す | 市販薬を続けず、医療機関へ |
⑤ 受診すべきサイン
なやみさん
治まったら飲み続けていい?
しまさ先生
薬で症状がおさまると、裏にある病気に気づくのが遅れることがあります。だから「2週間まで」なんです。
- 市販薬で3日たっても良くならない/2週間以上続く・くり返す
- 飲み込みにくい、飲み込むと痛い
- 理由のわからない体重減少
- 黒い便、吐いたものに血(出血のサイン)
- 何度も吐く、熱がある、おなかにしこり
- 年齢を重ねてから初めて症状が出た/家族に食道がん・胃がんの人がいる
⑥ 飲み合わせの注意
- 市販の胃薬は、服用中ほかの胃腸薬を飲まない
- PPI・P-CABは、一部のHIV治療薬と一緒に使えない
- タケプロンSは、テオフィリンを含む咳止め・乗り物酔い薬、酸化マグネシウムを含む便秘薬も使わない
ほかに薬を飲んでいる方は、お薬手帳を持って薬剤師に相談を。
まとめ
- PPIとH2ブロッカーは、効き方・効き始め・飲み方が違う
- 市販薬は2週間まで。3日で良くならなければ相談
- 続く・くり返す、飲み込みにくい、黒い便などは受診のサイン
関連記事:【薬剤師が解説】逆流性食道炎・慢性的な胸焼けに処方される薬と、2025年に登場した市販のPPIでできること
しまさ先生
市販薬は「短い期間で使うもの」。続くときは我慢せず相談してくださいね。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療にかわるものではありません。症状が続く場合や気になることがある場合は、医師または薬剤師にご相談ください。
参考文献
- 日本消化器病学会編.胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版)PDF
- 日本消化器病学会編.機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)PDF
- オメプラール錠 添付文書 PMDA
- タケプロンOD錠 添付文書 PMDA
- パリエット錠 添付文書 PMDA
- ネキシウムカプセル 添付文書 PMDA
- タケキャブ錠 添付文書 PMDA
- ガスターD錠 添付文書 JAPIC
- アシノン錠 添付文書 PMDA
- プロテカジン錠 添付文書 PMDA
- パリエットS 説明文書(エーザイ)PDF
- オメプラールS 添付文書(佐藤製薬)PDF
- タケプロンS 説明文書(アリナミン製薬)PDF
- ガスター10 S錠 添付文書(第一三共ヘルスケア)PDF


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